Fuji Velvia50 Varanasi

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
バラナシ(ベナレス)はインドのなかでもインドらしい街。というのも聖なる大河ガンガー(ガンジス川)に面したガートと
いわれる階段があってインド各地からヒンドゥー教徒が沐浴にやってきます。では早速自分もこの聖なるガンガーでひと風呂
浴びようかね〜などとはぜんぜん思わない。キタナい。濁ってる。でなんか怖い。メダカが戻ってきた多摩川とはわけが違う。
よく見ると死体のような得体の知れないものがプカプカ浮いてる。うんこも流れているようです。河原では火葬をやっていて
遺灰を河に流している。過保護な日本の坊ちゃん育ちの自分には一目見てムリ!と思う。このころ原因不明の熱やら慢性的な
下痢でコレラの影に怯えていてフラフラだったので水や食物に関してたいへんナーバスになっていたのだけども、たとえ店で
買ったペットボトルのミネラルウォーターだって安心できない。現地の水道水を入れただけのハズレを買わないようにフタを
開けた形跡がないか神経質にチェックする。聖なるガンガー水にも触れないよう細心の注意を払っていた記憶があるのだけど、
ヒンドゥー教徒はその聖なる泥水をありがたく浴びたりサリーを洗濯したりしている。ヒンドゥー教徒パネェ・・信仰は細菌
だろうが火の山だろうが乗り越えます。そんな光景をうすらぼんやり眺めているとクスリの売人がハッパ、ハッパと声をかけて
きたりするので、よほど自分は信仰のない俗物に見えたのかもしれない。三途の川といえば生と死、アッチとコッチをはっきり
と分け隔てる川だけれども、ガンガーは生と死、聖と俗をマージさせたような超カオスなスープのようだった。
当時の女友達もインドに行ったとき生野菜をバリバリ食べていたら肝炎になってしまい、現地で1か月ほど入院していたことを
帰国して笑い話にしていたのを思い出し、おまけに痴漢にあっただの預けたバックパック丸ごとパクられただのと言っていて、
いま彼女なにやってんのかなあと検索で探してみたらハンガリー在住のプロの写真家になってた。写真を続けていたことに
ちょっと感動した。スタート地点は同じだったのに写真だけで食っていくという覚悟があった彼女に随分と引き離されたなあ
と感じてちと寂しくなりました。あの入院経験がブレイクスルーだったのか?あれを乗り越えたら怖いもんなんてないわ。
ところで下痢をしてもお腹にやさしい食べ物がないので断食をしてたのですけど断食は効きます。体はフラフラなのに精神は
高揚し、光景は極彩色のようにキラキラと輝き、天国と地獄は表裏一体で、ご飯なんてどうでもよくなる。別にそっち系の
トリップ目的で来たわけじゃないのですけど、もしかしてこのままいくと解脱が近いんじゃ・・などと勘違いしながら帰国して
みたら肌を露出した日本の女の子がみんな娼婦みたいに見えてモヤモヤするわご飯はうますぎるわ、こりゃダメだと思った。