デイジーデイジー答えておくれ

博報堂が発行している「広告」っていう雑誌があるのですけど、今月の特集は2020年の未来予測。
やっぱりさーワクワクする未来を夢みたいじゃない。先行きは不透明だからこそおもしろいじゃない。
そもそも未来が透明だったことなんてないじゃない。透明のような気がしていただけで。
その雑誌に2020年のキーワードはズバリ「CCC」だ!みたいなことが書かれているのですけど、
「CCC」とはビタミンCたっぷりの未来という意味ではなくて、Creature Centered Community
(生物中心)という意味らしいです。効率化を追求するあまり柔軟性を失った社会から、生物とIT技術
結びついたダイナミックな生命的組織が生まれるかもしれないと。生命活動にコンピュターが介在して
オーガニックマシーンが生まれると。それ以上具体的なことは書かれてないのでなんのことやらいまいち
ピンとこない近未来の話なんですけども、自分なりに2009年レベルの想像力で描いてみるに、たとえば
植物の生体電位を拾って植物とお話ができるようになるかもしれないっていう話があるじゃないですか、
そういうのを発展させていくと、畑が水を欲しがってるとか、ジャガイモがふてくされているとか、
キュウリにオーケストラを聞かせたらご機嫌だとかまるでファームそのものがオーガニックマシーン化
するようなイメージとか?盆栽に明鏡止水の境地を聞くとか、今日の奥多摩の森は絶好調ですとか
明日の樹海は鬱蒼として超不機嫌ですとか、森予報みたいなこともできたらおもしろいかも。
携帯も単なる情報端末からセンサーで心拍とか体調とかフィーリングまで感知するようになって、
いまのフィーリンぴったりの音楽だとか、今日は会社をやすみなさいとか、GPSで風水予報とか、
カップル間の心拍ドキドキなうとか、まあ想像してみると楽しいけれども、それって結局ドラえもん
欲しいってことだよな。情報端末もEVカーもアシモも行き着くところはドラえもんかもしれない。
あと「幸福感受性」というキーワードがおもしろいなと思いました。東京みたいな都市に住んでいると
たいていのことには驚かなくなる。だいたい世界のどの都市にいっても「別に別にふーん、別に‥」
インドぐらい行かないともうビックリしなくなる。タクシーに乗ったらカーペット屋に連行されるとか、
道端に死体が転がってるとかターバン巻いた人が宙に浮いてるとか。そういう激しいエンターテイメント
を求めている人は是非インドに行ったらいいです。まだ古き良き過激なインドも残っていると思います。
「江戸っ子は物見高い」という言葉は、田舎の人たちは見るもの聞くものなんでも驚くけど江戸っ子は
ちっとも驚かないというクールな感性のことをいうそうです。インド人もビックリ!ってインド人は
それこそめったに驚かないように思われてますけど彼等はいちいち驚く。わざとらしいぐらい驚く。
東京人の無表情ぷりにも驚くと思う。そんなクールな感性がもてはやされる現代において、ささいな
ことであっても幸福を感受できる能力をもっと高めましょうよって話。箸が転がったら笑えって。
でもこれで思ったことは、たとえば今年の東京マラソンは当選倍率が9倍だったそうですけど、
少し前だったら東京走ってなにがおもろいの?ただ走ってなにがおもろい?っていうような鈍い人の
ほうが多かったと思うのですけど、そんなシンプルなことにも幸福を感じられる人たちがそれだけ
増えてきたってことじゃないでしょうかね。風を感じるだけでも幸せ。

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