帰省した初日に母が生前付き合いのあった近所のスナックに初めて親父と飲みにいった。
カウンターだけの小さな店はほぼ満席。周囲が歌え歌えいうので客層と店の空気に配慮しての演歌縛り。
吉田拓郎襟裳岬など。わけのわからないことで悩んでいるうち〜老いぼれてしまうから〜
演歌の心がわかるまでまだまだだが、兄ちゃん見込みはある。みたいな評価をみなさんから頂く。
帰り際スナックのママと母の思い出話になる。離れて暮らしている自分と違って、親父にとっては
思い出なんかじゃないのだとおもった。今も取り残された母の痕跡に囲まれて暮らしている。
アラーキーが陽子さんが亡くなったときに棺に一緒におさめたのが「愛しのチロ」の写真集。
そのチロが今年の3月に死んでしまったときの言葉。
「もうたいへんだよ。存在感より不在感だね。ほんとうに大事なことは、そう、存在よりも不在。
 たとえば愛という魂がなくなったときに写真になるんだよ。」