2000年と2012年のフジカラー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
なんとなく思い入れという口実と一緒に部屋の片隅に封印してたペンタのフィルムカメラを、インド放浪したときの相棒を、
動かないしカビてるしもう捨てるぞと決心し、裏蓋を覗いたらフジのポジフィルムが装填してあった。いつ撮ったものなのか
何を撮ったのかまるで記憶にないけど、封印されているイメージだけでも掘り起こしておきたいという好奇心が頭をもたげ
現像に出してみた。カメラはゴミでもイメージは永遠なのだから。現像からあがってきたフィルムは12年分の色を失っていた
にも関わらず、何かを喚起させるには十分なアウラを放っていて、つまり写真が写真たるべきことを主張してるようだった。
かって在りし日々。自分が失ったもの。去ったもの。フィルムの退色が記憶の色褪せ具合とぴったりと呼吸をあわせていて、
それこそフィルムのやさしさだよな、と思った。